くらしのたね

すごい料理本をいただいた


 パリの友人から郵便小包が届いた。結構な重さだ。荷を開けると現れたのは色とりどりのおいしそうなマカロンと大きなキッシュとクッキー、さらにパウンドケーキ。お菓子を郵便で送ってくれたの? そんなバカな! 腐っていないの? 唖然とする私。恐る恐る触ってみると、立体に見えたものはツルリとした平面。手に取って確かめるとそれらはすべて本だったのである。

 キッシュ本は直径27センチの円形。中にはキッシュ生地の作り方をスタートにロレーヌ、トマト、グリーンピース、ソラマメ、タマネギなど50種類の写真入りレシピページが続いている。厚さ5ミリもあるキッシュの円形表紙と不定形をしたパウンドケーキ表紙の端は切り込みを入れて巻き込んである。これは手作業でしかできない仕上げだ。クッキー本は複雑な形の金型を使ってバツンと裁断してある。包まれていた袋は、Parisサン・ジェルマン・デ・プレにあるアート系本屋「La Hune」。これらの本もアート書籍なのだろうが、これらの価格はいったい何ユーロ? さぞかし高い本なのだろうなあ。いささかシミッタレタ考えが頭を横切る。こんな本、作ってみたいけど、日本じゃ無理だろうな。切ないなあ。

 キッシュなら作った経験はある。しかしマカロンについては「作れる可能性」さえ考えたことがない。しかしである。表紙をめくればそこには写真入りの親切なレシピがあるではないか。「これはやってみるべし!」そう考えていたそのとき、通りかかった夫が「それなに? マカロンの作り方? 俺、作ってみたいな」と言った。

 それはいい! それ、大賛成! 老いたら手作業もしないとね。おいしいのができたらなおさらいいじゃないの。この本を教科書にあれこれパリの味覚をわが家で誕生させてみよう。キッチンに置いてあってもかわいいし。明るい老人暮らしの未来図がぼんやり見えたのである。お菓子作りに励む老夫婦、ちょっと素敵じゃありませんこと? 素敵なすごい贈り物に深く感謝したのである。


こぐれひでこ|すごい料理本をいただいた





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