くらしのたね

CHANGE の季節


 四半世紀ぶりに髪を短く切った。ロングヘアーだったとは言うものの、いつも髪をまとめてお団子頭にしていたので、ショートヘアになっても雰囲気は変わらないだろうとタカをくくっていたのだが……いやいや考えが甘かった。顔の造作は同じなのに鏡に映る私は見知らぬ人のよう。「変な顔~」とそっぽを向いてみるけれど、もうお団子頭には戻れない。私の目がショートヘアの私に慣れ親しむまで、ただ忍耐あるのみ。

 ピアスをつけたら少しはマシになるか? と考えて、数年前に塞がってしまったピアスの穴をもう一度あけた。クリニックでは穴あけと同時に規正のピアスを装着しなければならず、2ヶ月間そのピアスを装着し続けなければならない。イチバン地味そうなものを選んで装着したのに、鏡を見たらキラキラと輝いていて……アララララ! これまた2ヶ月間の忍耐が必要である。

 髪を切った同じ週に、1年間もほっぽらかしにしていた三浦半島にある家の変身作業に入った。東京の家に飾られていた額縁や鏡、自作の絵やオブジェを「これでもか!」というほど大量に飾ってみたのだ。結果は大変に良好。

 例えばパウダールーム。
 東京の家のバスルームにあった額縁と鏡をこんな具合に飾ってみた。高級ホテルのパウダールームみたいだったこの空間は、

パウダールーム




 おしゃべりなこぐれ色に変身。

こぐれ色に変身


 満足である。


 例えばベッドルーム。 
Simple is best風だった部屋の壁に、
Simple is best風だった部屋


これまで描いてきた自作のイラストを並べたら

Simple is best風だった部屋
 生活感があふれた空間になり、これまた大満足。

 思惑はずれの結果もあったけれど、CHANGE は実に楽しい。失敗も成功も含め、どっちも、やってよかったと心から思う。CHANGE & TRY の精神を心に秘めたオバアに……失敗なんか恐れない《秀バッパ》(あまちゃんの夏バッパみたいな)になりたいと思う66歳の私なのでした。

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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)