くらしのたね

大は小を兼ねる・ソテーパン

ご覧になればお分かりでしょうが、これは葉っぱです。我が家に生えている葉っぱです。


葉っぱのお皿
上にあるのはハラン。料理屋でお刺身を盛りつけたりするおなじみのアレです。日当りの悪い樫の木の根元に、夫の実家から1株だけ移植したのに、10年間でとんでもない量に増えています。ハランだけなら寿司屋の10軒くらいは賄えそう。


左下にあるのはヤツデ。やはり十年ほど前のある日小さな芽を出して、今では2m近くに成長し、立派な葉っぱをつけています。おそらくカラスが種を落としていったものと思われるのですが、カラスもたまには粋なことをしてくれるんですね。


右側の葉はミョウガ。キッチン脇にあるプランターに繁茂しているので、盛りつけに彩りをつけたいとき、ちょいと切ってこんな具合に使います(写真は稚鮎の甘露煮)。


稚鮎の甘露煮と葉っぱのお皿


徳島県の山間の町が「葉っぱビジネス」で活気を取り戻しているという情報がTVで流されたのは20年以上前のことだったでしょうか。「いいところに着眼した人がいるものだ」と、いたく感心したものです。それ以来、身近にある葉っぱをお皿に敷いて、料理の見た目をよくしている私です。葉っぱの上に載せるだけで、おにぎりだってランクアップ。こりゃ真似するしかありませんね。食卓に葉っぱをもっと参加させてみましょう。



ちなみに私、葉っぱを撮影した夜にはヤツデの上に野菜だけの天ぷらを、ハランの上にはうどんの薬味(ネギ、ミョウガ、オクラ、油揚げ、おろし生姜)を、ミョウガの葉の上には漬け物を載せました。うどんが中心の、ともすれば見た目が寂しい夕食だったはずなのに、葉っぱ類のおかげで食卓に華やぎが生まれたのでした。普通の葉っぱに感謝!です。



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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)