くらしのたね

誰でも子どもの頃は芸術家である


 エル・グレコ、ラファエロ、ルーベンス、フランシス・ベーコンなど、東京の美術館では大展覧会が開かれている。観に行きたい、行かなくちゃ。1ヶ月前からそう思っているのに実行していないのはなぜなの? と自分を責める。だってさあ、どこも混んでいるでしょ、人ごみに交じるのは気が進まないの。自分で自分に言い訳する。まったくね、人間、フットワークを軽くしておかないとダメだわねえ……自己反省しながら過去の写真をたぐると、子供たちの絵が何枚も現れた。毎朝の散歩を日課にしていた4年前の写真。


4年前の子供たちの絵

 この作品は目黒区の路地で発見。おっ、これは素晴らしい! とシャッターを切った。地色のチャコールグレイに白とブルーとピンク。いい配色じゃありませんか。描かれた女の子たちの表情もいい。ホントはねえ、こういう単純な絵が描きたいんだよねぇ、でも、もう描けない。そんな切ない気持ちを抱きながら思い出したのはピカソの言葉=「誰でも子供の頃は芸術家であるが、問題は大人になっても芸術家でいられるかどうかだ」。
 ピカソは芸術家のまま一生を終えたが、私はとうの昔に芸術家ではない。


東大駒場の塀で出会った子どもたちの絵

 こちらもまた同じ頃、東大駒場の塀で出会った子どもたちの絵。公共の塀に絵を描く許可をもらっているということは、上記の地面落書き絵と違い、誰かディレクションする大人がいたのだろうな。絵本のページのようにまとまった構成である。しかし凡庸な大人では表現できないおおらかさがあって魅力的。そしてまたもやピカソの言葉が頭に浮かんだ=「ようやく子供のような絵が描けるようになった。ここまで来るのにずいぶん時間がかかったものだ」
 もう子どもには戻れない自称イラストレーターの私。芸術とはなんなのか、ただいま開催中の大展覧会を巡回して、じっくり考えてみることにしよう。


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