くらしのたね

ニコニコマークと、卵?

 私たちは週に一度食料買い出しのため三浦半島を回る。最近そのドライブルートの途中に大型のホームセンターがオープンしたので、水やビールなどを調達するようになった。そのついでに必ずチェックするのは、調理器具のコーナー。まあ大体はツマンナイものしか売っていないのだが、ごくたまに私の心をノックする魅力的なモノがある。先日、私の心を小さな音でコンコンと叩いたのがこの子。ニコニコマークの模倣品か? でもかわいいんじゃないの、これ。手にとって説明書きを読むと、卵白と卵黄に分ける道具だって。色もデザインもかわいいし、こりゃいいわ。

ニコニコマーク


 我が家ではローマの郷土料理であるスパゲッティ・カルボナーラをよく作る。我が家のそれは生クリームを使わないローマ風カルボナーラ。ソースの材料はベーコンとパルミジャーノと卵黄、それだけ。卵白と卵黄に分ける作業なんて、大変でもなんでもないけど、この子がするりとやってくれるのなら、台所に微笑みが生まれるでしょ。期待して卵を割ったら、白身がするりと抜けてくれない。穴から垂れている白身をお箸で軽く引っ張ってあげるとすっきり抜けてくれるのだが……。でもキッチンにぶら下がっているだけでもかわいいし、愛おしい気分になる。そして手で卵黄と卵白に分けるより少しは楽なので、気に入っている。


カルボナーラをよく作る

 かわいいこの子の出現で、いつもより我が家の食卓にカルボナーラの登場が増えたのでした。


スパゲッティ・カルボナーラ


こぐれひでこ「くらしのたね」バックナンバー

やさしい手作りのある暮らし てころはこちら

プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)