くらしのたね

三浦大根で学ぶ:訊くはいっときの恥


 三浦半島にある海辺の町の生活で楽しいのは買い物。港にある魚屋には漁獲されたばかりの魚類が、養鶏所では生まれたての鶏卵が、農産物の直売所では新鮮野菜が手に入る。すべての食材を一軒のスーパーで揃えてしまう東京の生活と違い、買い物という普通のことがとてもエキサイティングに感じられる。

 先日の週末、ひとりで買い物ドライブに出かけた時、巨大な大根に出会った。これが三浦大根か! いや~デカイ! これを2人で食べきるのは無理だ! そう思って、近くに寂しく並んでいる青首大根を購入。しかしである。周りにいるほとんどの人たちのカートに載せられた5、6本の三浦大根のことが気にかかる。こんなにたくさんの大根、どうやって食べきるのだろう。

 興味がわいたので、40代と思われるご夫婦に話しかけた。 「こんなにたくさんの大根をどう調理するんですか?」「この三浦大根はじっくり煮るとほのかな苦みと甘さがあり、軟らかくておいしいですよ。青首大根に押されて今ではあまり流通していないですけど」「でもこんなにたくさん食べきれるんですか?」「割り干しにすると甘みが増しますよ~」
 割り干しって? という疑問が頭に浮かんだが、輪切りにして干すんだろうと知ったかぶりをした。

 それにしても、三浦大根はなんだかとんでもなくおいしそうである。売り場に戻り、三浦大根の中では小振りなヤツを購入。家に戻り大根を計ってみると長さは42cm、胴回り32cm。大きなヤツだったら長さ60cmはあっただろう。
 薪ストーブの上でコトコトと煮た。ほのかな苦み、甘み、軟らかさ、大根らしい味わい。あの人たちが言った通りにとんでもなくおいしい。

三浦大根
 翌日、輪切りにして干した。数日後にはおいしい干し大根になっているだろうと期待して東京に戻り、「三浦大根の割り干し」をネットで検索してみたら……あれれ、あれれ、輪切りじゃない! 大根の根元部分を残して、縦に6~8等分に切ってある。切り干し大根というには太すぎるので「割り干し」と呼ぶのだそうだ。


輪切りにして干した三浦大根
 ありゃ!「訊くはいっときの恥」である。あのとき知ったかぶりせず質問すれば、こんな失敗はなかったのに……。




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