くらしのたね

渦巻きが好きだ!

いよいよ夏真っ盛り。夏と言えば蚊。蚊にさされるとかゆい。ものすごくかゆい。だから、我が家の夏に於いて、イチバン重要な必需品は蚊取り線香。

「そんなものを使わなくても電気コードにつないだだけで、蚊を追い払う器具があるじゃないか」というアナタ。アナタは私の好みが分かっていない!(知り合いじゃないので当然だが)


蚊取り線香
私は蚊取り線香のあの形がことのほか好き。クルクルクルと渦巻き状になったこの形はデザインとしてほぼ完璧だと思う。蚊が襲来する夕刻、ひとつの渦巻きを取り出して火をつける。いい形だなあ、と思いながらていねいに火をつける。白い煙が立ち上り、そこから発する香り、これもまた私は好き。「いい匂い!」ひとつ深呼吸をして夕飯作りにかかる。CMにあるように蚊取り線香は《ニッポンの夏》を代表する、かなりありがたいものなのだ。


蚊取り線香に限らず、椅子やテーブル、あるいは階段の手すりなどに施された渦巻き模様も好き。装飾過多なのは好きじゃないけど、蚊取り線香の渦巻きをちょっとだけ展開した程度の渦巻きね、アレは大好き。まあ簡単に言ってしまえば、私は《渦巻き模様マニア》なのである。


稚鮎の甘露煮と葉っぱのお皿


この写真は神戸異人館街にあるホテルの階段。《世界一》という朝食をとりに階段を下りようとしたらこの光景が目に入ってドキッとした。(注:最近、世界一という評判の朝食店が人気だけど、そこではありません)チェックインしたときも外出したときも、エレヴェーターを使っていたので、こんなに素敵な階段があるなんて知らなかった。色の構成具合、渦巻きの巻き具合、途中で直線が入っているのもいい。かなりいい。こういうのね、好きなの。この階段に出会ったおかげで、その日の仕事を元気はつらつとこなせたのでした。ありがと、渦巻き!


アナタには好きな形ってありますか?



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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)