くらしのたね

チーズの空き箱:第2の人生?

 チーズの箱は丸い。そう決まっているわけではない。四角いのだってあるし、藁に包んであるだけだったり、紙に包んであるだけだったり……チーズだって人間と同じように姿形はそれぞれバラバラ。針金みたいに細い人が好きという人もいれば、ゴムまりみたいな人が好きという人もいる。だから世の中面白い。


 「あんた、何を言いたいのかね?」と訝る方もおられよう。いやなに、私はただ、チーズの箱なら円筒形のヤツが好きと言いたいだけなのだ。だから空箱をむやみに捨てられない。場所ふさぎの無用の長物……だけど好きだからしょうがない。そんなことをぼんやり頭に描きながら棚に置かれた箱を見ていたら、ピピピピピ~とアラームが鳴った。この箱で円形の押し寿司、作れないか、という知らせ。


チーズの箱なら円筒形|こぐれひでこ


 トラウトサーモン(刺身用)を買い込んで、早速作ってみましたら、これこの通り、富山名物の駅弁である【鱒寿司】によく似た押し寿司が完成。
 蓋箱にラップ、トラウトサーモン、すし飯、ラップの順に重ね、下箱の底が下になるように載せ、重しを置いて1時間ほど。そうすると写真のような、可愛い押し寿司ができちゃいます。

 素人臭い出来上がりだけれど、ま、そこがまた可愛い。普通サイズのカマンベールの箱を使用した場合、出来上がるのは、おひとりさまサイズの美味しい押し寿司。人数分作って、ホームパーティに登場させて見たらどうかしら? これで無用の長物だなんて言われなくて済むね、チーズの箱君たち!


可愛い押し寿司 | こぐれひでこ


 



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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)