くらしのたね

美しき冬の野菜たち


 1ヶ月前の野菜の直販所は野菜の種類が少なくて寂しかった。店の人たちは「今は端境期だからねえ」とうつむきながら言い、しばし後に顔を上げて「もうちょっとしたら大根がでてきますよ」と言葉を続けた。

 昨日、2つの直販所を訪れたら、店の光景は1ヶ月前とは大違い。さまざまな種類と色の野菜が店先に並んでいた。「ばんざ~い!」心の中でそう叫び、とても明るい気持ちになったのである。中でも心を引かれたのが大根類と蕪類。直販所の人が言っていた季節が到来したのだ。名前と味の特徴、調理法をひとつずつ教えてもらった。「こんなに食べられるのか」という心配はあったものの、一気にこれだけの大根&蕪を購入。形と色合いに心を奪われたためか、このかわいらしさを我がものにするという欲求が制御できなかったのである。


ダイコン類




写真に振った番号に沿って説明してみよう。

 ①
青首大根(煮ても漬けても生でも、おろしても。)
 ②
三浦レディサラダ(表皮はピンク色で中身は白い、生食用に開発された大根)の間引いたもの(いわば赤ちゃんのレディサラダ)
 ③
あやめ雪蕪(紫白の配色がホンワリと優しく美しい。サラダや酢漬けに、ぬか漬けにしても美味。購入したうちでこれだけが蕪)
 ④
紅芯大根(表皮は白、中がピンク色の蕪のような形をした大根。辛味が少なく、ほんのりと甘い。生でサラダに、スライスして酢漬けにすると全体が赤く染まる)
 ⑤
三浦レディサラダ(②の大人版。小ぶりな食べきりサイズなので使い勝手がいい。サラダや甘酢漬けに)
 ⑥
紫大根(その名の通り、表皮も中もピンクがかった紫。辛味のない大根。大根おろしにすると美しい)
 ⑦
名称不詳(店の人が名称を失念。首の回りがピンクで下の方は白い。きめが細かく雅びで、しっとりとした食感。スティック野菜にオススメ)

 昨日私が購入したのは以上6種類。「煮てヨシ(種類にもよるが)、漬けてヨシ、生でヨシ」……その上、消化酵素、血栓防止作用、解毒作用もあるという大根……どうして食べずにいられようか! それに、もうじき巨大な三浦大根がお目見えするはず。Miura Daikon Coming soon!である。ああ、冬は大根、なにはともあれ大根である。

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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)