くらしのたね

弁当箱

 弁当箱が欲しいな。と思ったのは去年の今頃。世間ではお弁当の料理本が話題になっていたし、TVでも「お弁当にいい料理」とか「パリでBENTOのセレクトショップを開いたフランス人がいる」というような事柄を紹介していた。弁当箱なら我が家にも一つだけあった。9年前、私が還暦を迎えたとき、古い友人から贈られた春慶塗の二段弁当箱。 しかし残念ながら我が家の住人2人に弁当を持って出かけるというチャンスが訪れることはない。 ある日のお昼、残り物を詰めてみたら、こんなに美味しそうなお弁当になったのである。(おむすびは前の晩残ったうなぎの炊き込み御飯。きゅうりは糠漬け)。

弁当箱|こぐれひでこ


 二つ弁当箱があったら、ランチ定食みたいにできるのになあ…… 弁当箱が欲しいなあ…… 思いが募った私はネットで検索。そして秋田杉で作った「曲げわっぱ」の弁当箱を2つ買った。こちらも2段重ねである。ふたを開けると杉のいい匂いがする。残り物を詰めたらこんな風になった(白菜漬けで巻いた鮭フレークまぶしごはん&きゅうりのぬか漬け&さつま揚げ&四万十海苔)。お皿にのせて食べたらさみしい限りの献立だが、お弁当箱に入ると見栄えが大きくUPする(30~50%UP?)。見栄えがいいと美味しさも増す。


弁当箱|くらしのたね

 弁当箱は簡単ごはんの時に活躍するだけにあらず。友人を招いたごはん会でも卓上に華を添えてくれる。一口サイズの「めはり寿司」を「曲げわっぱ」に並べただけだけれど、なかなかいい感じだと思いません?これからも弁当箱君たちにはいろんな場面で活躍して貰うつもりです。


弁当箱|くらしのたね こぐれひでこ


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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)