くらしのたね

不憫なのか、幸せなのか:我が家の計量ボウル


 私の料理は思いつき料理がほとんど。完成図を念頭に置いて、調理を始めることはまれなので、あれれ?あれれ? と思わぬ方向に調理が進んでしまう。もちろん大失敗をすることもあるが、ほほう、こんなものが生まれたか! と調理した本人が驚くようなおいしい一品が誕生することもあり、料理は実験だなあ、楽しいなあ、と悦に入るのである。
 不味いもの、普通においしいもの、とびっきりおいしいもの。そんな料理がばらまかれていてこそ、家庭のごはんなんじゃないのかな、と考えている私なので、自由気ままに調理する実験料理をやめることはできない。

 先ほどまで、ある雑誌の料理取材を受けていた。これまで何度となく料理取材を受けてきたが、いつも困ってしまうのは、細かく調味料の分量や食材の切り方や火の入れ方などを訊ねられること。「調味料は味を見ながら」とか「煮え具合は様子を見ながら」などといういい加減な答えでは許されないのである。
 本日もいつも通りに調理をしていると「あ、塩大さじ1杯でしたか?」とか「水はどれくらい入れましたか?」とか「何センチくらいに切るんですか?」とか、実に細かい。まあね、ページを見た人がちゃんと作れるように、レシピを記さなければならないのだから、編集者の質問は当然のことなのだが……。

 撮影が終わり、味見会も終わり、ひとりになって考えた。我が家に「計る道具」はいくつあるのだろうかと。キッチンで発見されたのが写真にある5点。右から時計回りに計量カップ、計量スプーン、タイマー、秤、計量カップ。

計量器

 最も使う頻度が高いのは PYREX製2リットルの計量ボウル。鍋に水を注ぐ、この上にザルを載せてだし汁をこす、食材を洗うなど、30年近くにわたり私の手先として働いてくれたものだ。あ、そういえば、買ったばかりの頃、このカップを花瓶としても使っていたことを思い出した(乱暴な使い方だったなあ、といまは思う)。
 計量カップなのに計量の役目を与えられていないこのカップ、当の本人(?)は不本意なのかどうなのか……会話ができるなら、ぜひ訊ねてみたいものだ。



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