くらしのたね

嬉しかったお買いもの

 我が家には白木(さわら製)の飯台と朱塗りの粉こね鉢がある。 飯台とは酢飯を作るときに用いる桶。 木製なので、余分な水分を吸ってくれるから酢飯がパラリと仕上がる。 粉こね鉢とは蕎麦をこねるときに用いる鉢(そば打ちなんてしないのだがドスンとしていてかっこいい)。 ふたり暮らしだというのに、どちらも直径30センチと結構大きい。 収納場所に悩んだりすることもあるけれど、ホームパーティの時などは、酢飯を作るだけでなく、ちらし寿司を盛りつけたり焼き魚を盛りつけたり野菜の煮物を盛りつけたり。 そんな時は「ああ、これ、持っていてよかった」と感謝することもある。そ、まあ、評価はよかったり悪かったり。複雑だ。

鉢と飯台|こぐれひでこ

 それなのに先日、またもや大きな飯台を買ってしまった。すでに持っている力強いデザインの円形飯台とは違い、はんなりとした細身の、小股の切れ上がった粋筋女性を彷彿とさせる楕円形の飯台。 大きなお鉢(飯台)はもう不要だと思っていたのに、結構お高いお値段なのに、買ってしまった。 同じお店に並んでいたこっくり系のちょっと不思議な魅力のある箸置きも買ってしまった。 ああ、こんなに嬉しい買い物をしたの、久しぶり。 私にもまだ、物欲が残っていたことを知って、それもなんだか嬉しい。


楕円飯台|こぐれひでこ

 1年前、友人宅で筍ご飯が盛られたのを見たときから欲しかったの。 写真は友人宅のおしゃれで美味しい筍ご飯。 私も早く作りたい。


筍ご飯|こぐれひでこ

 

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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)