くらしのたね

サッカーを観ながら思うこと

ヨーロッパに於けるサッカー熱はすごいなあ、選手だけじゃなくてサポーターもすごいなあ、と唖然としたのは2004年のサッカー欧州選手権の試合を観るためポルトガルへ行ったときだ。リスボンの空港に到着したらタクシーが一台もいない。途方に暮れながら待つこと20分。クラクションを鳴らしながらタクシーが集まってきた。スペインに勝利して準々決勝進出を決めたのだという。ポルトガル語は分からないが運転手の喜びは伝わってきて、彼らのサッカーに対する情熱にびっくりしたのである。


応援団のパワー

応援団のパワー

翌日リスボン中心地の広場へ出かけてみると、出場国のサポーターたちが群れをなして闊歩していた。赤と白のイングランドサポーター、赤白チェッカー模様のクロアチアサポーター、オレンジ軍団はオランダサポーター、フランス人サポーターは青白赤の衣装を身にまとい、国の象徴である雄鶏の帽子をかぶっている。応援合戦はスタジアムの外でも熱く繰り広げられていたのだ。




クロアチア応援団の圧倒的な力

クロアチア応援団の圧倒的な力

2年後、ドイツでクロアチアサポーターに再び出会った。今度は日本の対戦国である。町の中心にあるカフェは赤白チェッカーの大男たちに占領されていた。Tシャツ、パンツ、バッグ、帽子、眼鏡のフレーム、車全体など、ともかくすべてが赤白チェック模様で彩られている。試合までまだ数時間もあるというのに、飲む、歌う、シュプレヒコールを叫ぶ。その一体感たるや凄い!そして羨ましい。圧倒されて影が薄い、我々侍ブルーの日本サポーターたち……試合は0:0で引き分けたのだが、サポーターの対決はクロアチアの圧勝だった。



いろいろといやなことばかりが続くニッポン、みんながサッカー応援団のように熱く団結できたらいいのに。開催中のサッカー欧州選手権の試合をTV観戦しながら、そう思ったのである。



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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)