くらしのたね

抱腹絶倒のじゃらんぽん祭り


 埼玉県秩父市の「じゃらんぽん祭り」という不思議な祭りがある。またの名を「葬式祭り」という。葬式の祭り? と顔をしかめないでもらいたい。でたらめでおかしくて笑いが止まらない楽しい祭りなのだ。

 「疫病が流行ったとき、人身御供を神社に捧げた」のが始まりという説と「酔っぱらって遊んでいるとき、そばに棺桶があって、おもしろがって遊んだ」のが始まりという説、極端に違う祭りの起源説に面食らうが、祭りを見物した私は後者が本当じゃないかなあと思う。しかし死や神を冒涜しているかどうかと問われれば、答えはNONである。生きている喜びが溢れている。写真や言葉ではこの祭りの面白さをうまく表現できないので、式次第をイラストにしました。


じゃらんぽん祭り


こぐれひでこ くらしのたね


 今年の開催は3月15日(日)。秩父市久那地区にある諏訪神社と下久那公会堂で行われる。秩父鉄道の影森駅から徒歩25分。本来町民だけの小さなお祭り、しかもかなりオフザケの祭りなので、勇壮なものを期待せず、お出かけください。お腹がよじれんばかりの笑いがアナタを待っています。



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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)