くらしのたね

素麺かぼちゃという野菜をご存知?

 この野菜はゆでてほぐす、ただそれだけで果肉が麺状に変わるという、とても不思議な構造をしている。形は写真のような長球体。去年買った素麺かぼちゃはオレンジがかった黄色をしていたが、今年見つけたのはメロンのような薄緑色。

素麺かぼちゃ


 皮が手強いので指を切らないように注意しながら、実の両端を厚さ2センチほど切り落とす。続いて胴の部分を厚さ3センチほどの輪切りにする。中心部にある種とワタを取り除く。

素麺かぼちゃ


 鍋に水を沸騰させ、輪切りを入れて15分ゆでる。水にさらして冷やす。輪切りの内側を軽く引っ掻くと、あら不思議! 繊細な麺状のものがはらはらと剥がれるのでびっくり。麺状の果肉を水にさらしながら優しくほぐし水を切る。「嘘でしょ、嘘でしょ」。最初この野菜を調理したとき、指先で触るだけで細麺に変わっていく様子がまるでマジックのように感じていい気分だった。いっときだけのマジシャン気分も悪くはない。涼しげな色の美しい麺はこれにて完成。

糸瓜


 わが家では素麺のように食べることが多い。今朝はパクチーを散らして食べてみました。お腹に優しくて朝ごはんにいい感じ。



 サラダに冷やし中華そば風に、いろいろ試していただきたい、面白い野菜だ。



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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)