くらしのたね

無謀な新年事始め:GOLF再開

 GOLFに熱中していたことがある。 熱中していたなどというと、それなりのゴルフ愛好家だったと思われるかもしれないが、残念ながらすごく下手だった。 GOLFに熱中した人はみんな、10年、20年、30年、それ以上も、飽きることなく熱中し続ける人が多い。 だけど、私の情熱は3年も続かなかった。 そんなわけで私の場合、初心者の初心者の初心者…「純度の高い初心者」だと断言できるほどの「初心者」という段階でGOLFに見切りをつけたのである。

 ところが、なんということか、自分でも呆れてしまうのだが、もう一回GOLFをやってみようか、なんてことを、今年71歳になろうという今、無謀にも考えついてしまったのである。 そのような、とんでもハップンなことを思いついた原因は、多分、生活圏にゴルフ場があること。 半日あったら1ラウンドできちゃう。 近頃ちゃんと歩いてもいないし、こりゃ一石二鳥じゃないかしら、昔みたいに夢中になれたら嬉しい、などと考えついてしまったせい。

 早速ゴルフ場脇にある練習場の打席に立って打ってみた。 いや打ったのではない、クラブを振ってみたけれど、アレッ、アレッ、アレッの連続。 ボールにクラブがちゃんと当たってくれないのである。 T-upしてアイアンを振れば、なんとか当たるものの、あまりの下手さに愕然! だけど、体を動かすのは気持ちいい。ああ、こんな感覚、しばらく忘れていた。「下手でもいいさ、やってみようよ、フレーフレー、ワタシ!」と自分を応援しつつ、練習に励んだ。

 近くに住むゴルフ好きの友人にそのことを伝えると、「暖かくなったら一緒に回ろう」という優しいお言葉を頂戴。フェアウエイでT-upしてもOKというお許しもいただいた。

 今年の春、ゴルフコースにデビューできるかどうかわからないが、もしもフェアウエイでT-upしている老女を見かけたら、それは私。どうか見逃してくださいませ。


GOLF再開|こぐれひでこ

 

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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)