くらしのたね

依存し過ぎにご注意を!


あー、頭の中が真っ白になった。どうしたらいいのやら、と途方に暮れた。1週間前の朝10時、PC部屋へ移動。いつもならすぐさま立ち上がるはずのPCがウンともスンともいわない。長い時間がすぎて、モニターに現れたのは?のマーク。今日はご機嫌が悪いのかな? もうちょっとすればいつものアイコンが出るだろう。凝視して待ってみたが、モニターの画面は変わらない。
 強制終了してインストール用ディスクを挿入してみたが反応しない。夫に助けを求める。あれやこれやと点検した後「これは壊れちゃったかもね」と判断され、結局修理に出したのである。3日後、PCは作動するようになって戻ってきたのだが、データの復旧は不可能との診断付き。

 ガ~ン!ガ~ン!ガ~ン! 頭の中で鈍い鐘のような音が鳴った。 「でもバックアップ取ってあるんでしょ?」夫が当然のことのように言う。 「ううん、去年の夏から取っていない」気弱に答える私。 「1年半分の記録が消えた!」何とも言えない喪失感が心に広がる。運良くノートパソコンにバックアップしてあったデータをPCに移行するが、去年の夏からの日々の記録は空白。心はフワフワとして落ち着かない。
 自分がこれほどまでにPCに依存していたのか、と驚く。いつでもどこでも無心に携帯電話の操作をやっている人たちをせせら笑っていた私が、これほどPCに依存していたなんて! 私も同じ穴のムジナだった!
 ま、いつまでもぼやいてばかりではいられない。0からのリスタートをしてみようと思う。「リスタートって言葉もいいもんじゃないか」と自分にいい聞かせながら。それにしても特定のものに依存しすぎるのは危険ですね!

バックアップされていたデータを2例、紹介しましょ。
 2006年、ドイツワールドカップ:日本対オーストラリア戦の日、ストリートで繰り広げられていたオーストラリア人のパフォーマンス。
2006年、ドイツワールドカップ



2010の仕事:1例。イラストは原画があるので問題はないが、原稿が失われたのはいたい。
2010の仕事:1例





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プロフィール

こぐれひでこ プロフィール

1947年埼玉県生まれ。
イラストレーター。
デザイナーとして活動後、
『流行通信』での連載がきっかけとなり、イラストレーターに。著書には、「食」「暮らし」に関するエッセイも多く、毎日の食事を公開しているホームページ「ごはん日記」は2000年より連載中。読売新聞の「食」に関するコラム「食悦画帳」は2004年より連載中。著書は『こぐれひでこのおいしいスケッチ』(新潮文庫刊)、『小泉今日子×こぐれひでこ 往復書簡』(角川マガジンズ)